井上靖文学碑
「ああ、湯が滲みて来る。本州の、北の果ての海っぱたで、雪降り積る温泉旅館の浴槽に沈んで、俺はいま硫黄の匂いを嗅いでいる。」前述の一文は、平成3年1月29日、83歳の生涯を閉じた作家井上靖氏の小説「海峡」の一節です。
井上靖氏は、知人から「ここなら渡鳥の声が聞ける」と、昭和33年3月9日に下風呂温泉郷を訪れ2晩宿泊し、津軽海峡が見渡せる旅館の一室で、小説「海峡」の終局を執筆されました。
「海峡」は、下北半島を舞台に、様々な人間が織りなす愛の交錯を描いた作品で、終章には下風呂温泉郷が「いさり火の見える温泉」として紹介され、全国的に有名となるきっかけになりました。
公園内にある文学碑は、碑の名前の横に落款を彫り込んだ数少ない碑の一つで、井上靖氏は、この碑文の構成を練るために平成元年、31年ぶりに来村され、当時を偲んでおりました。
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